変化を喜ぶ

変化を喜ぼう。

 

「シュマリ」という漫画を読んだ。

漫画の神様、手塚治虫先生の北海道開拓をテーマにした名作だった。

ちなみに「ゴールデンカムイ」着想のヒントとなったのでは?とも言われている。

 

僕が面白いと思う漫画や小説には、法則がある。

個人では抗えない社会の大きなうねりと、その中で自らの生きる意義を問う

主人公の葛藤があることだ。

 

実直に仕事に取り組んだにもかかわらず、巨大企業の不祥事に巻き込まれて行く

沈まぬ太陽」。

立身を夢見た2人の青年が、清朝の政権争いのなかで自らの人生を問う

蒼穹の昴」。

 

「シュマリ」は手塚作品だけあって、異性への愛、家族愛、そのほか

様々なテーマがカオスとなり形成されているが、

私はこの作品から「時代の狭間で生きる者の悲哀」のメッセージを強く感じた。

 

主人公は、元徳川幕府の旗本、シュマリ。

そのライバル的存在の、北海道の資源を早期に権益化するため炭鉱を経営する

切れ者、弥七。

 

シュマリからすれば、剣を振り、強い男が正義だった時代。

弥七からすれば、資金と成果にこだわり開拓者精神で突き進めばよかった時代。

 

2人の価値観は北海道の開拓が進むと反比例して取り残されて行く。

 

武器は剣から西洋銃器へ。

強さではなく頭で勝負して行く時代へ。

 

経営は国や銀行の意向を考慮しなくてはいけない。

封建的主従関係は終わり、労働者の権利を守らなければいけない。

 

生きる能力として聡明な2人は変化を十分に感じながらも、

自らの生き様はそこにはないと感じ、人生に落とし前をつける。

 

2人の行く末、ぜひ読んでいただきたい。

 

この漫画を引き合いに出したのは、2018年もまさに明治維新後に匹敵する、

新世代テクノロジーによる大変革時代であると感じているからだ。

 

実は僕は転職をした。

 

新卒から、ITにまつわるデバイスやソフトを扱う大手メーカーで8年働いた。

それなりに結果も出たが、このまま働き続けることで社会の変化に

アダプトし続けられるか不安に陥った。

 

情報の非対称性による既得権益の、インターネットによる崩壊。

外資ベンチャーのスピード感。

中央集権から分散化する時代へ。

 

私たち日本人は一部のアーリーアダプターを除き、明らかに変化を怖がり、

時代をリードできていない。

日系IT企業が口癖のように呟く共創という言葉は、

裏返すとこれからの時代に向けた自らの社会的ミッションを打ち出せていない

クライアント任せで無責任な立場の表れだと思ったのだ。

 

3月からは米系のIT企業で働く。

 

シュマリと弥七のアプローチとは違い、変化を喜んでいく。

 

変化を喜ぶログ、どうぞよろしくお願いします。